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代表者メッセージ(2)

 
さらに上を目指しインドにも生産工場をつくる。
 
インドにも工場を造った理由は?
黒田社長
将来に対する量産体制と、やはりコストパフォーマンスです。候補地としては、インド、タイ、中国とあって全て視察した結果インドに決めました。決定理由は、すでにインドには80万人とも言われるダイヤモンドポリッシャーが存在していたことです。

工場を造って短期間で稼動できる条件を最優先事項にしたのです。ポリッシャーを1から養成する必要がなく、優秀なポリッシャーをセレクトでき、彼らをベルギーから連れてきたプロの技術者に徹底的にエクセレントカットの技術を叩き込んで貰ったのです。インド人は非常に素直で一生懸命で本当に驚くほどの初期成功を勝ち取りました。インドに工場を建設してから現在で7年になります。現在500人のカッターが働いています。
 
社長は現在のダイヤモンド業界をどのように見ていますか?
黒田社長
今はジュエリー業界、勿論ダイヤモンド業界も含め成熟期から衰退期に突入していることは間違いないです。昔はこの業界は本当に宝の山があって、それをただ力一杯掘るだけでめちゃくちゃ儲かった時代があったのです。

問題は、唯一度胸だけが資質として問われた時代です。私はまだ駆け出しでそんな経験は皆無だったけれども、その時代の成功者がその後ずーっとその成功体験を経験主義的に引きずってきたのです。その栄光の時代が忘れられなくて、ずるずる後退を繰り返して現在の閉塞状況に陥ってしまっているというのが私の認識です。

時代が変わって宝の山がどこにあるかわからない状況なのに、まだその延長線上で一生懸命穴を掘っている。うちは世界がグローバル経済に移行し大競争時代に突入していく過程でいち早くグローバル化に着手しました。パラダイムシフトに基づいて経営戦略を大きくチェンジしてきました。

 
商品の仕入について、気をつけていることはどんなことですか?

黒田社長 
それは、非常に本質的問題です。
当社は明快にしていることがあります。当社はダイヤモンドを売ることで生計を立てている会社であって決して仕入れることが大切な会社ではないということです。こんな当たり前のことを言うのは、この業界は仕入れする人、即ちバイヤーが一番偉いという位置づけになっているからです。うちの会社は私が常に営業の第一線でやってきましてただの一度もバイヤーをしたことはありません。うちの会社は営業が一番重要な立場であるということを徹底させています。

営業というのは、うちではマーケターとして位置づけています。要するにマーケティングする人ということです。マーケット、即ち顧客、の情報の収集と分析を行い、それに基づいて仕入れをするということです。それと顧客データの分析が非常に大切な要素として加わります。 うちは仕入れは常駐スタイルでやっていますので、何よりも重要視しているのは営業との徹底した議論の積み重ねです。コミュニケーションの質と量を高めることです。そうしてジャストインタイムな買い付けを目標としています。

 
原石の仕入れから生産、販売まで全て一貫してできるようになって、次はどんな展開をお考えですか?

黒田社長 
やはり原石の仕入れ“量”の一層の拡大が、これからの最大のテーマになってきます。というのは、ダイヤモンドビジネスは原石の仕入れルートが、非常に限られているんです。ポリッシュされたダイヤモンドはマーケットに溢れるばかりにあるんですが、原石は量をより一層大量にかつ継続的に確保していこうと思うとなかなか難しい問題が存在するんです。

参考までに原石の主な産出国としては、南アフリカ共和国、ボツワナ、ナミビア、アンゴラ等々のアフリカの国々が圧倒的に多いんです。後は、ロシア、カナダと続きます。

 
これからの事業展開と人材について。
 
今後の戦略を教えていただけますか?

黒田社長 
戦略的思考としては、世界の潮流としてのグローバリズムの徹底化でしょう。
構想としては、世界のビジネスの流れが大きくアジアにシフトしてきている状況を先鋭的に先取りして、ホープの本社機能を香港に移行し、中国、インドを中心としたアジアに大きく軸足を移していくことです。世界第一のダイヤモンド消費国アメリカと、これから消費国としても大飛躍を遂げるだろう中国を中心としたアジア、ここにしっかりとホープの命運をかけて飛躍しょうと思っているんですよ。そうすると、希望、ホープ、は文字通り無限でしょう。ホープを設立してから丁度今年で25年目になります。なんとかこれから勝負できる基礎とその体制は出来あがったと思うのです。さあ、いよいよこれからが本番突入ですね。ホープの佳境に入ったところです。

 
事業戦略と、会社の成長に合わせて、これから多くの人材が必要ですね。

黒田社長 
文字通り企業は人なりです。中小企業こそまさに切実として日々痛感しているところです。特に私は自分の力よりもスタッフ達の成長に合わせて事業を大きくしてきました。人材の成長イコール企業の発展です。また企業というのはいろんなタイプの人材を必要とします。金太郎飴みたいな人材ばかりを養成するのではなくて面白い奴も必要なのです。人材というのは、言葉を換えて言えば、社長の価値観の分身みたいなところがあります。この親ありてこの子あり、です。私は仕事の権限の移譲というのをどんどんやっていきます。現場は現場の判断に委ねるというのがうちの方針です。例えば私は英語は全くのチンプンカンプンです。しかしうちの会社は設立当初から海外で重要な仕事が多くありました。私は基本方針だけを言うだけで、後は現場の英語が出来るスタッフが海外の事業をやってきたということです。

うちのスタッフは海外へ行きたい人が多いのですが、希望する人にしか絶対に行かせません。それも行かせてほしいと積極的な姿勢で迫ってくる人にチャンスを与えます。私はなんぼ仕事だからと言ってもやりたくない人に無理強いしたような仕事は嫌いなのです。仕事が楽しいと思えなくちゃ人生損するよ、というのが私の持論ですから。

最近の私はますます実務的な仕事から遠のいています。私の主な仕事は、全体的な構想を練りそれを実現せる為の戦略戦術を示しみんなのモチベーションを上げることぐらいです。後はみんなに美味いもの食わせてやることが主な仕事でしょうか。だから私が海外出張に出かけると現地の駐在員が喜ぶんですよ。毎日美味い食事にありつけるからと。何しに行っているかわかりません。

 
世界の各拠点には、必ず日本人がいるんですか?

黒田社長 
グローバルなビジネスを戦略的にやっていくということは、国境も人種も地域的格差も何もなく全てがフラットであるということです。会社(ホープグループ)での地位も給与もみなフラットだということになります。
例えば日本と中国で同じレベルの仕事をしていたら給与も基本的には同じになるということです。どこの国に行っても重要な仕事はみな日本人にしかやらせないなんていうことはあり得ないということです。

原理原則的にはインドはインド人に任せていく、香港は香港人に任せるというのが理想として掲げています。また特に今後のアジアでの展開における人材の確保は香港に大きな期待をよせています。それは香港には英語と中国語の両方を使える人がたくさんいるからです。現地のスタッフの出来る人には、どんどんいい仕事を与えチャンスにトライさせ、結果を出していけば、給与も地位も全く日本人と同じ様にしていこうと思っています。今ではまあ当たり前のことを言っているのかもしれません。

 
営業経験は必要でしょうか。

黒田社長 
営業経験はいりません。ただ適材適所ということがあります。暗くて人と接触することが苦手だとかオタクっぽい人とかは例外として難しいでしょう。営業というのは、まず人に気に入られることです。
その努力を惜しまない人は大丈夫です。後は礼儀をしっかり覚えることです。日本社会は礼節を重んじますから。そこをよくいろんなことから学ぶことです。まあ、それから、社会人としての常識のレベルを磨くことと、人間としての約束事に対しての義理を大切にすることですか。約束は絶対に守るということは、特に私はうるさく言います。

 
社員の教育はどんなことをされていますか?

黒田社長 
土曜日にミーティングがあって、そこで私が二時間ぐらい話をします。そこで常識とか一般的知識とか会社の歴史とか、まあ恋愛論とかも、まあいろんなことを話します。私のものの見方考え方を知ってもらうためでもあります。
ただ一貫して私が念仏のように言うことは、勉強しろ、本を読め、それをしない奴は上にはいけないぞ、若い時は徹底して理論武装しておけよ、ということです。

私たちは決して汗水たらして働くことが自慢ではない、知恵をだすことが、創意工夫することが仕事なんだよと。知恵をだすには知識が原資として必須になる。空っぽの頭からは知恵は決してできませんから。それと、教育としてよく新入社員に言うことは、会社は学校ではない、教えてもらおうなんて思ったら、教えてもらうのが当然だなんて考えたらもう致命傷的にだめだ。給料もらって学校の様に教えてもらおうなんてとんでもないことだ、とまず思えと。見て覚え、それでどうしても分らなかったら聞け、質問しろ、それが全てだと思えと言っています。

 
営業会議ではどんなことをお話しされるのですか?

黒田社長 
定例の営業会議には私は基本的には参加しないです。私が加わると私中心になってしまってみんなの意見があまり出てこなくなるんです。私は営業会議を凄く重要視しています。営業会議の充実がその会社のレベルの高さのバロメーターだと考えているからです。伯仲した議論のやり取りが私は好きなんです。馴れ合いのまあまあ主義は絶対許せません。だから会議での意見においては上下関係を認めません。そうでしょう、真理に上司もへったくれもありませんから。激しい議論の中からでこそイノベーションが生まれてくるものです。一生懸命目標を達成する為に試行錯誤を繰り返す、その中で一番大切なことは、本当によく考えよく議論することなのです。そして後は果敢にチャレンジし実践するだけです。それで達成できなくても、仕方がないじゃないですか。

しかしその時の苦渋と悔しさは必要です。次の大きな可能性に結びつくものです。若い時は大いにチャレンジしそして大いに失敗することです。それが成長する人の必須ですよ。結果にこだわれば社員は育ちません。結果よりもプロセス重視です。私は暗いのが本能的にできないし嫌いです。暗い会社は伸びません。会社はいつも笑いのある明るいのがいいです。

 
ところで、社是みたいなものはあるのですか。

黒田社長 
う……特にないですね。今考えて言えといわれれば……。社是になるかどうか分りませんが……。私が好きな言葉に、高杉晋作の辞世の句の、「面白きこともなき世を、面白く」というのがあるんですが、その話をミーティングの時にみんなによく話をするんですね。人生面白く生きなかったら損だよ、それには仕事が好きで好きで仕方がないということがやはり一番だよ。そしてもうひとつよく言う話に、「男(人間)はやる時にやる、立つときには立つ、だから日頃は適当にかつ大いに遊べ」と。まあ、これをつなげば“楽しく愉快にそして決起する”、これではだめですかね。

 
このホームページを見て、入社を検討している方もいると思います。最後にその方たちにメッセージをお願いします。

黒田社長 
やる気がある人には、日本だろうと、海外だろうと、チャンスは無限にありますし、私はどんどんやってほしいと思っています。会社としては、グローバル展開をさらに推し進め、まずは売上300億、そして500億円を目指していきます。そのために人材が必要です。会社を引っ張っていってくれるような人に、会いたいと思います。

社長のお考え、会社の方向など、よくわかりました。ありがとうございました。

(2008年4月)
 
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